星野概念さん(以下、星野) すごい端的に言うと、大城さんは「すごいいい人」なんだと思います。
大城健太郎さん(以下、大城) いい人だろうなとは思います(笑)。あと、そもそも人が好きというのがあります。特に自分も含め「うまくいかない(ように思える)瞬間」に関心があるんですね。僕は、よく生きようともがくその瞬間を悲観的に見てなくて、人間の美しい部分だと思っているんです。
苦しいのは前に進もうとしているから。人生はもがいている時期のほうが味がある
大城 人生の中で調子よい時はもちろんあります。そういう、何をやってもうまくいく時期より、振り返った時に大変だった瞬間のほうが味わい深くて、そここそが人生だと思うんですね。そういう瞬間がない人って多分いない。僕も迷ったり悩んだりする。解決するかしないか別として、なんとかしようと行動したりいろんな考えを取り入れたり、人に聞いてみたりしながら進もうとします。うまくいかない瞬間は、前に進もうとするからこそだと思います。何かに向かっていったり戦ったり、選択したりしなきゃいけないから訪れるんじゃないかなと。
星野 一見ぱっとしない状況のなかに、その人というか「人間」が存在していると。迷ったりつまずいたり立ち止まったりして、また動き出すことそのものが人生になっていくのを大城さんは信じてるというか知っていて、素敵だって思ってるから伴走できるんですね。それが(事業の)モチベーションになってるのかな。
大城 確かに。前に進もうとする貴重な時間を共有してもらうのは喜びです。 僕の関わりで全てが変わるとかは思ってません。ただ「あなたは大丈夫」と信じて伴走し、いつかは終わってスッキリした状態で、もがいた瞬間を知っているからこそより愛おしい気持ちでよかったなと思えること、自分はずっと一緒にいるわけじゃないけど「そのタイミング」がまた来たとき一緒にいたら、また話しましょうねと思えること。それが単純に好きなんです。
対話するとは、その人の力を信じること
星野 僕の仕事のメンタルヘルスの領域って、うまくいかない話を聞くところ、うまくいかないひとと一緒にいるところから変わっていく過程に関わらせてもらうことで、すごく自分の力になるというか、いろんなことを教えてもらうような気がしてます。大城さんも、そういう感覚ってありますか? 僕だけじゃなく本当にいろんな医学生・医師の相談に乗ってきてると思うんですが。
大城 ありますね。他の人になかなか話せなかったことを話せて良かった、話せる場を作れてよかった思いなどがあったりします。うまくいかないことについて話すこと自体に強さを感じたりもしますね。ふつう言いたくもないようなことを共有してもらうので、「言葉にすることができたんだな」って尊敬が生まれます。
星野 僕は毎日のように聞いてるから、双方向っていう感覚は強いかな。相互的というか助けてもらったり教えてもらうこともいっぱいあるって感じるんです。対話からは、相手も自分も変化のきっかけが生まれるような気がしてて、診療を通じて、人の話を聞くことで起こった自分の変化や感想を話す機会をたくさん持たせてもらえてるという気持ちが大きいですね。日々対話するって本当に豊かなことだなと思ってます。
大城 仕事となるとちょっと感覚が違うと思いますが、僕、昔から恋愛の相談されたらペンギンの話で返したいみたいな感覚があるんです。照れくささもありますが、恋愛というその人の問題に対して押し付けがましいというか、知ったように何か助言するのってちょっとなあって気持ちがあるんです。基本的には結局最後って自分で考えたり自分で選択していくわけじゃないですか。その答えって、僕は言えないっていうのがあって。
星野 僕も仕事だとさすがに恋愛の悩みをペンギンの話で返せないんですけど、それに近い感覚で話してますかね。荒唐無稽にいきなりペンギンを出すんじゃなくて、話を聞いててペンギンの話がしたくなった、つまり、話の中で気づいたり思いついたりした種や可能性みたいなものを表現してる感じです。
それって、この人は「どこかで」「自分で」気づくという、その人の力を信じている部分がすごくあるからなんです。だからよっぽどなことがなければそういう関わり方をしたいなと思ってるのかもしれないです。
助言って難しくて。本当にそれがぴったりきてるのか、僕はこうするけど相手がそうするのがいいのかは永久に分からない。自分は相手じゃないから。恋愛の話に恋愛で返すとき、その内容はどこまでいっても自分の話でしかなくて、相手が同じようなことをできるか、するのがいいのかはまた違いますよね。
ペンギンという種や可能性の話は、どう受け取ってどう自分の中で消化し、染み込ませていくかはその人のやり方でやっていくわけで、やっぱりその人を信じていることになる気がします。
大城 まさに、それ言おうと思ってました。ペンギンの話に流す感覚って、その人の力を信じきれたタイミングでそういう風にしてると思うんです。だから、1回ちゃんと話を全部キャッチします。基本的にその人の力を信じているのが大前提あるので、全部が全部そうじゃないんですけど、あなたはきっと大丈夫だと。しんどい時期ってあるよね、それも含めて大丈夫だよ、あなたならって信じるのが大前提にあります。
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相手を信じることで医学生・医師のモチベーターとして伴走する大城のお話でした。こんな大城とお話ししてみたい方はこちらから↓



